半音下げの意義

さて、タイトルは半音下げと題しました。またバンドスコアなどではよくハーフ・ステップ・ダウンとも表記されています。これはギターやベースなどの弦楽器におけるチューニングの一つですね。おそらくこの記事を読まれている方は楽器、特にベース関連の方が多いでしょうから説明も不要ですが一応簡単に説明しておきますと・・・


ベースのレギュラーチューニングというのは通常4弦から1弦の順番にEADGとなっております。これが基本です。しかし、時と場合によってはこれを半音ずつ下げてD♯・G♯・C♯・F♯(♭表記の場合はE♭・A♭・D♭・G♭となります)というチューニングにしてベースを演奏する場合があります。さて、それではどんな場合に半音下げる事が多いのか?色々なケースがあるのですがとりあえず実用頻度順に2つだけ挙げておきます。


@ローD♯(ローE♭)の音を4弦ベースで出したい時/または使いたい時

A運指の関係上半音下げでないと弾けない場合/または半音下げた方が運指が楽になる場合

などが該当します。


まず@から見て行きたいと思いますが、これは4弦ベースのレギュラーチューニングでD♯(E♭)の音は一番低くても4弦11f・3弦6f・2弦1fでしか出せません。しかし、曲調によってはそれよりもさらに低いD♯(E♭)の音を使いたい時もあるでしょうコードの前後の関係などで。しかし、4弦ベースのレギュラーチューニングではご存じの通り4弦開放のEまでしか出せません。それでこれを半音下げてD♯(E♭)にして音を出そうというものです。なお、この時基本的には全部の弦を半音下げとします。


ここで、ちょっと待った。その音(ローD♯・E♭)だけが欲しいのなら「他の弦は(チューニング変えずに)別にそのままでもいいのではないか?」という意見も聞こえてきそうなものです。勿論それでも構わないのですが、そうするとかなりベースが弾き辛くなります。というのもベースの縦の位置関係(度数の関係)は4度を基本としているためです(ドロップDなどの例外もありますが今回は省略)。


4度と言われても何の事かさっぱりだと思われる方も多いと思うので細かい理論の話はここでは取り上げません。ともかく縦の位置関係をそのままにしておかないとかなり弾き辛くなります。たとえばオクターブ奏法を皆さんはご存じだと思いますが、あの位置関係はレギュラーチューニングである限りどこのポジションに行っても位置関係は変わりません。そして、左手のフォームもどこの弦に移動しても変わりません。


しかし、仮にこれを4弦だけ半音下げにして、他の弦をレギュラーのままにしておくと厄介な事がおこってきます。たとえば4弦3fと2弦5fというのは通常であればオクターブの関係にあり、オクターブ奏法がいつもの左手のフォームで出来ます。しかし、これが4弦だけ半音下がっている場合は4弦4fと3弦5fの行き来になりますので相当弾き辛いと感じるはずです。


基本的に僕も含めて大抵のベーシストはレギュラーチューニングのEADGの位置関係で運指を普段行っているので、急に位置関係が変わったりすると弾きにくいと感じるのです。また自然とついている手癖のフレーズなども各自あると思いますが、そういうのもズレて来ますので4弦だけ半音下げにして、他の弦を半音下げないでそのままというのは非常に運指がやりにくくなりますし、理論的にもあまり賢い方法とは言えません。


従いまして、多少面倒でも半音下げにする時は基本的には全ての弦を半音下げる事が前提となります。つまりD♯・G♯・C♯・F♯(E♭・A♭・D♭・G♭)に確実にする事が重要です。とは言え半音下げも面倒なものです。そう言う人は半音下げ用のベースを一本サブに買っておくか、5弦ベースを一本持っておくと安心でしょう(ちなみに5弦ベースを半音下げにする場合もあります)。


さて、次にAを見て行きたいと思います。「半音下げないと運指の関係上弾けない場合とはいかなる場合の事か?」 たまにローD♯(E♭)の音が出て来ない、或いは使わないのにわざわざ半音下げにして弾いている人がいます。この場合運指の関係上という理由で半音下げている可能性があります。


大抵は開放弦を交えたフレーズなどがある場合です。たとえば4弦4f(G♯・A♭)の音を鳴らしながら1弦17f(C)の音を両方鳴らすというのは無理です。でも、これをやりたい時にはどうするか? 開放弦を活用すると出来ます。この時半音下げにします。そうするとチューニングは4弦からD♯・G♯・C♯・F♯(E♭・A♭・D♭・G♭)となります。そうするとあら不思議、3弦開放弦の音がちょうどG♯・A♭の音です。これならこの3弦開放の音を鳴らしながら、1弦18f(半音下げたので1フレット当然ずれます)の音をはじき出せます。


まぁ、ちょっと分かりづらい例ではありますが、こういう活用事例が多々あります。開放弦を交えながらハイフレットで和音を作るというのはプロではよくある事です。こういう事をしたい時などに半音下げにする場合があります。


もう一つは曲のテンポが速くて開放弦を交えないと弾けない場合や開放弦を交える事によって弾きやすくなる場合などに半音下げにしたりする事例があります。いい例が東京事変の「電波通信」という曲です。あの曲は別に半音下げる必要もないですし、ローD♯の音も出て来ません。なので、半音下げるメリットはないように思えますが、半音下げると最初のリフのフレーズの弦移動が横移動だけで済みます。つまり縦移動が無くなるので速くて弾けないって人でも弾けちゃうと言う事です。実際、東京事変のベーシストである亀田誠治氏も「電波通信」をライヴで弾く際は半音下げで弾いてたそうです(レコーディングは知りませんが)。


とまぁ仮にローD♯の音が出てこない、使わない場合でも運指が楽になるという理由でわざわざ半音下げる場合もあります。あとはキーによって半音下げた方が開放弦が使いやすくなるのでわざわざ半音下げにする場合もありますが、キーの話はちょっと面倒なので今回はご勘弁を。


ちなみに、師匠こと亀田誠治氏の場合は半音下げにする事によってかえって弾きにくくなるのに、半音下げて弾いている曲もありました。これは先に述べた開放弦とハイフレットの組み合わせを行う為にです。わざわざこれだけの為に半音下げにする所に妥協の無さを感じますね。


バンドスコアには半音下げと書いてあっても半音下げない方が弾きやすい場合もあり、バンドスコアに半音下げと書いてなくても半音下げにする事によって弾きやすくなる場合もあります。その辺の判断は各自で判断して頂くしかないですね。なお僕の場合はサブベースがあるので運指の関係上半音下げで採譜したという事例が数件あったりしますw 逆に半音下げて開放弦交えないと弾けないフレーズの部分を省略してレギュラーでアレンジした曲もあります。まぁ耳コピするにあたってはまずは半音下げか、そうでないかを判別するのが結構重要ですね。
あとになって譜面を変更したりするのは面倒なので(苦笑)


記事が長くなってまとめるのが面倒になって来たので・・・遁走いたす(苦笑) まぁ、半音下げも慣れると楽しいしどんどん活用したくなるよという事です。気付いたらあなたも亀田誠治並に半音マスターになっているかも? 半音下げに出会った瞬間「なんかオラ、ワクワクすっぞ!状態に?笑」 とりあえず弦楽器は♭系のキーが苦手な場合が多いのです。譜面に♭が2つ以上いてたらとりあえず半音下げてみたくなるのが僕です。E♭とA♭とD♭とかG♭は特にね(分かる人は分かってくれるネタです)w


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